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川端裕人の本 [Book]

銀河のワールドカップ (集英社文庫) 銀河のワールドカップ (集英社文庫)
おやじがこの本を知ったのは、5月に「今ここにいるぼくらは」が文庫化されたのがきっかけだ。その帯についていた「こんなサッカー見たことない」という紹介文を見て興味を持ち読んでみた。読み終わって積んでおいた本を、期末テストの終わったたく丸が読んだ。今は女房が読んでいる。

たく丸は、読んでいる最中は「こんな小学生、ありえない。作者は小学生のサッカーを知らないんじゃないか」と、怒っている様子だったが、読み終わった後は「これを映像で見てみたい」と変った。試合の描写が良く描けているせいだろう。特にアマリージョとの決勝戦が秀逸で、高校選手権の歴史に残る名勝負、野洲×鹿実戦を彷彿とさせる。てっきりこの試合に着想を得たのかと思ったが、小説の初出が、「小説すばる」2005年10月号~2006年2月号で、選手権の野洲×鹿実の決勝が2006年1月9日なので、小説の方が早そうだ。

たく丸風に言えば「ありえない技量を持つ小学生たちの、ありえない展開の話」ではあるが、小学生を取り巻くサッカー事情については、しっかりと調査されており、リアリティーを持って読める。テーマは「夢をかなえること」で、これは小説デビュー作の「夏のロケット」と共通していて、こちらも面白い。

今ここにいるぼくらは (集英社文庫) 今ここにいるぼくらは (集英社文庫)
博士(ひろし)という名の少年を主人公とした連作だ。「影法師の長さが、すこし違う」は、たく丸の中学受験時代に模試(だったと思う)に使われていた。切ない話だが、忘れられない作品だった。おやじの好みでは、「山田さん、ダイガー通りを行く」だな。軽めのタッチで、山田さんのスーパーマンぶりがいい。未読だが、「川の名前」と対を成す作品とのことなので、そちらも読んでみたい。

年取ったせいか、こうした「スタンド・バイ・ミー」ものに惹かれるようになった。今のところ、おやじの少年小説のベスト3はこんなところ。

The S.O.U.P. (角川文庫) The S.O.U.P. (角川文庫)
Second Lifeのようなオンライン仮想世界S.O.U.P.を根城とするサイバーテロリスト集団が引き起こすインターネットの破壊活動と、それを阻止しようとする天才プログラマーの戦い。

折しも、この本を読んでいる最中に韓国・米国へのサイバー攻撃が始まった。影響自体は、2000年のYahoo!、eBay、Amazon等への攻撃の方が大きいような気がするが、今回は意味合いが違いそうだ。米国の態度はまだはっきりしないが、韓国はこの攻撃をテロと捉えているようだ。小説の中だけではなく、ついにそういう時代に突入してしまったということだろうか。


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